当体義抄送状 文永十年(1273年) 聖寿五十二歳御著作


 質問致します。

 「『当体蓮華』は理解し難い。故に、『譬喩蓮華』を借りて、その教えを顕した。」
と云う事は、経文に証拠が有るのでしょうか。

 お答えします。

 法華経従地涌出品第十五においては、「地より涌出した菩薩(注、法華経本門に
おいて、釈尊御入滅後の弘教を誓われた、上行菩薩・無辺行菩薩・浄行菩薩・安立
行菩薩等の『地涌の菩薩』のこと。)が世間の法に染まらない事は、あたかも、『蓮
華』が水の上に存在するようなものである。」と、仰せになられています。

 まさしく、この経文において、地涌の菩薩の『当体蓮華』がお記しになられてい
ます。
 地涌の菩薩の『譬喩蓮華』も、この経文において、知る事が出来るでしょう。

 以上、この件に関しては、後日、改めて、書くことに致します。

 この法門は、妙経所詮の理(法華経の究極の法理)にして、釈迦如来の御本懐で
あると同時に、地涌の大士(菩薩)に付嘱(法華経本門の結要付嘱)をなされて、
末法に弘通される経の肝心(本門の本尊・戒壇・題目の三大秘法)であります。
 また、国主が信心をお持ちになった後に、始めて、この事を申すべき、秘蔵の法
門であります。

 日蓮は、最蓮房に対して、この法門を、伝え終わりました。

                                    日蓮 花押



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